ライターが、文字起こしというものにフラストレーションをためていることは間違いない。
1時間のインタビューを全部文字化すると1万8000字程度になるが、ライター自身が与えられた文字数は1500字程度だったりする。
発言をそのままの形で1500字切り取るわけではない。話し言葉というのは不完全であるため、言葉を言い換えたり補ったりして、読みやすいよう理解しやすいよう、全面的に執筆し直す。
文字起こし原稿は、単にその参考にするだけだ。それなのに、自分で起こせば手間がかかるし、外注すれば日数とお金がかかる。
今回は、文字起こしにフラストレーションを抱えているライターに対策を提案したい。
提案1:自分で文字起こしする
原稿料が極度に安いと、やらざるを得ない。しかし、ライターは文字起こしに不慣れだから、時間がかかる。専用の再生ソフトやフットスイッチといった便利グッズを使っていないし、徹底した単語登録でタイピングを省力化するという技術がない。おかげで肩も凝る。
自分で文字起こしするなら、ぜひ文字起こし(テープ起こし、音声起こしなどともいう)の基礎を学んでおくことをお勧めしたい。
提案2:記憶で書く
これはやっているライターが多い。取材中に取ったメモも参考にして、インタビュー後すぐに、自分の記憶が鮮明なうちに、記事を書いてしまえばいい。
しかし、それができない場合もある。
例えば、ある特集のために連続何人もインタビューをして、その日はそれで終わってしまうことがある。翌日になって書こうとすると、記憶が不鮮明になっている。A氏が言ったのかB氏が言ったのか、具体的にどんな言い回しだったか、確定できなくなっている。
提案3:自動音声認識を使う
音声から自動で文字化する技術もある。
いわゆる音声認識ソフトは、録音された音声から認識するモードを持っている。ドラゴンスピーチにもAmiVoiceにもそれはある。
手軽なところでは、スマホの音声入力を使うという手もある。Androidの場合で手順を説明しよう。
録音したインタビューの音声ファイルをパソコンに取り込んで、スピーカーから音を出せるようにしておく。そして…。
- スマホで、文字が入力できるアプリを起動。LINEでも何でもいいが、ここでは「ノート」を起動。
- 新しいノートを開いて、マイクのマークをタップする。
- 音声入力モードになったら、スピーカーの前にスマホをかざして、インタビュー音声を聞かせる。
これで、どんどん文字が表示されていくはずだ。例えばこんなふうに。
Google音声認識の場合、句読点は挿入されない。
話の内容はなんとなく分かる。しかし、「敷金送りした質問状にソフト」は変だ(本当は「事前にお送りした質問表に沿って」と言っている)。誤認識だ。「お伺い」の「お」も落ちている。
ここはインタビュー冒頭だから多少の誤認識は問題ないが、話が佳境に入ったときこの認識率だと理解しにくくなる。
しかも。
インタビューがここまで認識されることは、実はわりと少ない。なぜなら…。
続きは次回。
(廿 里美)