文字起こし用の再生ソフトの5条件を考えてみました。
1)ちょっと戻りができる
2)フットスイッチが使える
3)音声のタイムをコピーできる
4)「mp3、wma、wav」以外の音声ファイルを再生できる
5)動画ファイルを再生できる
ちょっと戻りがなければ文字起こしには使えない
1)ちょっと戻りができる
ちょっと戻りは、ソフトウエアによって、「自動巻き戻し」「オートバックスペース」「停止時の自動バックステップ」など、さまざまな名称です。
音声を止めて次に再生すると自動的に数秒前に戻って再生される機能であり、文字起こし用の再生ソフトにおいては最も重要な機能です。
2秒か3秒を選ぶ人が多いようです。
ミリ秒で設定するソフトの場合は、2000~3000ミリ秒となります(1秒=1000ミリ秒)。
ホットキーよりも足操作が最強
2)フットスイッチが使える
タイピング中にマウスに持ち替えて再生・停止をするよりも、キーボードから操作できたほうが効率がいい。ですからホットキーの機能は必要です。しかし、音声の再生・停止を足で行えば、両手がタイピングに専念できてさらに効率的です。
言葉のタイピングと音声の再生・停止という全く違った操作、しかも両方ひっきりなしに行う操作を、同じ指で行うのは、やはり不合理です。足に仕事を分担させましょう。

あの頃はトランスクライバーだった
音声がカセットテープに録音されていた時代のテープ起こしは、フットスイッチを使って音声の再生・停止や巻き戻し・早送りを行っていました。当時のテープ起こし業務用のカセットデッキはトランスクライバーと呼ばれ、これにはフットスイッチが付属していたからです(別売でしたが)。
今世紀に入って、カセットテープのテープ起こしから、音声ファイルをPCで聞いて起こすようになったとき、音声を足で操作するという習慣はいったん途絶えてしまいました。
当時、パソコンで使えるフットスイッチ(フットコントローラー)は、ほぼ市販されていなかったためです。
足で操作する取り組み
それでも、トランスクライバーの使用経験があるオコシストは、足で操作するべく、さまざまな努力を続けていました。
ゲーム機用のコントローラーを、パソコンに接続できるよう、しかも足で踏めるように改造するといったことが行われました。ミシンのフットスイッチや音楽の場で使われているフットスイッチにアダプターを付けて、パソコンで使う取り組みもされました。ノートPCを足元に置き、スペースキーを足先で踏むことで再生・停止を行うという荒業に挑戦した人もいました。
私自身は、音声ファイルに切り替わった当初はホットキーで再生・停止を行っていましたが、オリンパスのフットスイッチが発売された2006年以降は、ずっとそれを使っています(現在はオリンパスRS27H)。
でも、自分が講師を務める講座やセミナーでは、過去あまり積極的にフットスイッチを推奨してきませんでした。今は反省しています。
この投資は効率アップで回収できる!
行政がお金を出すセミナーは、受講者にお金をかけさせることが忌避されます。特に、「ひとり親支援」系の事業などは、その傾向が強まります。
しかし、せっかく音声起こしを勉強して実務に就いても、フットスイッチの数千円を惜しんだために作業効率が悪く、もっと稼げるはずだった金額を稼げないという面があるとしたら。
「セミナーではホットキーで再生・停止する方法を紹介するけど、仕事をスタートしたらフットスイッチを使ってください」と、ちゃんと伝えるべきでした。
改造フットスイッチを除けばオリンパスしかないという時期は、オリンパスを推奨するのも回し者っぽくてイヤだなあ…などとも思っていました。
現在はUSB接続の汎用的で安価なフットスイッチが、いろいろ発売されています。Amazonなどで「フットスイッチ USB」と検索するとたくさんヒットします。
(音楽用や工業用のフットスイッチはPCでは使えないので、USB接続のものを探すのが検索のコツです)
USB接続のフットスイッチは、どの再生ソフトでも使うことができます。おかげで、ようやく「文字起こしにはフットスイッチを使おう!」と大声で言えるようになりました。
新しい条件の3以降については、次回に理由を書きますね。