上手な録音起こし方の基本

2013.02.20

【聞き取れない音声の原因と対策】第7回「会場の騒音が強い」

その場がうるさくて、肝心な人の声が聞き取りにくい。こういうとき、うるささには2種類あります。人の声以外がうるさい会場と人の声がうるさい会場です。

1)人の声以外がうるさい会場操業中の工場での取材音声、窓を開けた部屋での取材で車の騒音がひどい音声など(そういえば、セミの声がうるさい音声とか、浜辺での取材で波の音が大きい音声も経験しました…)

2)人の声がうるさい会場レストランや居酒屋での取材音声、大規模な展示会での取材音声など

対策

1)の場合:音声ソフトのノイズ除去機能を試す

2)の場合:自分がそこにいると思って聞く

いずれも、もし自分が会場選びから関われるなら、そもそもうるさい会場を選ばないこと。録音から関われるなら、マイク感度を低にして、近い声を主に拾う設定にします。
テープ起こしのみを担当する場合、人の声と全く違う音域のノイズは、テープ起こし用音声ソフトのノイズ除去機能が効くことがあります。これに対して、人の声そのものがノイズになっている場合は、音域が同じなので除去できません。

レストランなど周囲の人の声がうるさい音声を起こす場合は、自分もそのレストランのテーブルに同席しているつもりで聞くのが、有効な対策になります。

その理由は簡単です。もし自分がレストランの同じテーブルに座っていれば、自分の耳が受け取るのは、ICレコーダーで録音したのと同じ音声だからです。それなのになぜ実際のレストランでは、周囲のガヤガヤにもめげず、目の前のA氏の声だけがはっきり聞こえるのでしょうか。

それは、自分の意識がA氏に向いていて、A氏の話を聞き取りたいと意識しているからです。
人間の耳にはそういう選択機能があるのです。とすれば、ナマのレストラン音声だけではなく、録音されたレストラン音声に対しても、ある程度の選択機能を発揮できるのではないでしょうか。

音声を聞くときに、レストランの店内をイメージします。そして、自分(というか、自分の意識)を、A氏の向かいの席に座らせます。私はA氏の声が聞きたい、A氏の話を聞きたい!とイメージします。集中すると、だんだん外野の騒音がひいていきます。

レストランに実際にいるときほど完全にはひいてくれませんが、次第次第にA氏の声がしっかり聞こえるようになります。

【聞き取れない音声の原因と対策】第6回「会場の残響(エコー)が強い」