今どきのテープ起こし用再生ソフトの条件、4つ目はこれだと私は考えます。
4)「mp3、wma、wav」以外の音声ファイルを再生できる
物持ちのいい会社・個人は多い
ICレコーダーを買い替えず、10年も前の機種を今でも大事に使っている人や会社は、案外多いものです。
古い機種は、当時フラッシュメモリが高価だったことから、記憶部が今ほど大容量ではありません。小さい領域に長い音声を録音するために、ビットレートは32kpbs程度でした。
ビットレートというのは、写真でいえば解像度のようなものです。数字が大きいほど音質はきめ細かくなります。ここ数年で発売されたビジネス用途のレコーダーなら、ビットレートは通常128以上です。
ビットレート32程度は、あまりに粗いのです。音が不鮮明ですし、話者の聞き分けが非常に困難です。10名も出席者がいる会議の録音となると、128の音声に比べて作業時間は倍増します。
「ここに録音アプリがある」?
このような事情をお客さまに訴えると、もちろんお客さまは分かってくださいます。しかし、備品の買い替えは、会社によってはなかなか上に通らなかったりします。
気落ちしたお客さまがふと手元のスマホを見ると、「音声レコーダー」といったアプリがインストールされています。
「去年買ったばかりのスマホだから、古いレコーダーよりは音質もましだろう。私物のスマホだけどこれで録音してみよう」と思われるのも、無理からぬことです。
アプリ「音声レコーダー」の画面。
とはいえ、スマホ録音の音声は、「10年物のレコーダーに比べれば少しはいい」という程度です。もちろんモノラル録音です。
クライアントに対して、今度は「スマホを使わないでほしい」という要望を出すのが、また私の仕事になります。
(ビットレート32に逆戻りも困る…。いっそこちらでレコーダーを提供して、これに録音してくださいとお願いするのはどうかと検討中)
m4aや3gpへの対応は続く予感
継続して発注してくださるお客さまに対しては、お願いしたりお伝えしたりできます。しかし一方、単発のお客さまが、そういう経緯なく「ここに録音アプリがあるじゃん」とスマホ録音されることも、昨今は増えてきました。
ですから、
4)「mp3、wma、wav」以外の音声ファイルを再生できる
…は、当面やっぱり必要条件だろうと思うのです。
スマホで録音された音声は、多くは拡張子m4aとか3gpといった音声ファイル形式になるからです。
次回は、似た問題ですが実はちょっと違う、「5)動画ファイルを再生できる」をお送りします。