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起こしの現場のブログ記事

7月9日、株式会社アドバンスト・メディアの「新製品発表会 兼 技術・戦略説明会」に行ってきました。

 

テープ起こしの仕事をしていると、いわゆる記者会見や記者発表の音声を起こすことがありますが、自分ではそういう場に足を踏み入れたことがないオコシストの方が多いと思います。実は私も今回が初めてだったので、記者発表ってどんなものか自体を、まずレポートします。

 

◆出かけるときは迷う時間も計算

記者発表を開く場合、企業広報はマスメディアに案内文書をFAXかメールで送ります。ミニメディアなokosoも声をかけてもらえて光栄です。
今回の案内文には、「コンシューマ向け新製品を発売するにあたり、その機能・特長をご紹介いたしますとともに、今後の技術の展望、経営戦略につきまして、ご説明差し上げたく」というような文言が書いてあって、具体的に何を発売するかは書いてありません。

 

開催場所は東京国際フォーラム。有楽町駅から徒歩1分。駅から入口まではたしかに徒歩1分であっても、中がやたら広いので、迷子になる時間を計算して早めに到着しておきましょう。分からなかったらインフォメーションで尋ねましょう。はい、ここがインフォメーションです。

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◆マイクとスピーカーの配置はこんな感じ

受付をすませて会議室の中へ。取材者の皆さんは、ICレコーダー、パソコン、カメラといろいろ持ち込んでいます。すごく立派な一眼レフカメラを用意している人が多くて、コンパクトデジカメを出すのはちょっと勇気がいりました。そのため室内の写真はあまり撮っていません。

 

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自分の席で立ってマイクを握っているのが会長兼社長の鈴木氏です。たぶんこの記事を読んでいる方のうちオコシスト以外の方は、結構若そうな方だなとか、鈴木氏に注目されると思います。それに対してオコシストの方は、まずマイクやスピーカーの位置に注目してしまうのではないでしょうか。

前方左右にスピーカーが設置されています。写真で非常口のとなりにぶら下がっているのが、左のスピーカーです。ハンドマイク・スタンドマイクの音量調節が良く、ICレコーダーを初期設定のまま、ただ録音ボタンを押すだけで問題なく録れる部屋でした。

 

前から2列目の席に座り、卓上で録音しました。記者発表の音声がいつもこのぐらいクリアだと、仕事しやすいんですけどね。

その音声に疑問点が…。

 

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自宅から持ってきた本。質問、これらの共通点は何か。

 

1)『人間にとって科学とは何か』湯川秀樹・梅棹忠夫 著
2)『中世の風景』阿部謹也・網野善彦・石井進・樺山紘一 著
3)『世界一の職人 岡野雅行 俺が、つくる!』岡野雅行 著
4)『搾取される若者たち バイク便ライダーは見た!』阿部真大 著
※3と4の表題はサブタイトル含む。3は、文庫では別のサブタイトルが付いている。

 

答え、しゃべり言葉を生かした文体で書かれている本である。

 

1は対談で、2は座談会だから、当然トークの雰囲気を生かした書き方になっている。3は、岡野社長がしゃべった言葉をそのまま生かしたような文体で、主語は「俺」。4は、著者とバイク便ライダー仲間との会話記録がたくさん出てくるのと、地の文でも口語的な表現が多用されている。

 

しゃべり言葉を文字として再現するとはどういうことなのか、どんな発話をどこまで直し、どこまでをそのまま文字化すべきなのか。
例えば、「~なんですけど」という発話は「~なのですけれども」に整えるのが正しいのか、それ以外の整え方があるのか、あるいは「~なんですけど」のまま文字化するのが良いのか。

 

私なりに一応の考えはあって、テープ起こしのセミナーなどで質問されたときは答えている。
しかし、そもそも「なんですけど」は文法的にどんな意味を持つのか。これを連発する話し方、例えば「一応調べてみたんですけど、それが~なんですけど、まあ~なんですけど、考えてみれば~なんですけど」は、どんな心理から来ているのか。

 

あらためて、今調査している。井上ひさしの20年以上前の本にヒントがあったような気がして、amazonに注文した。
もうちょっと調べて、もうちょっとまとまったら連載したい。
(「予告」なら、何月何日からという情報が必要なのでは。あのー、「もうちょっと調べて、もうちょっとまとまったら」ということで…)

最近気になるのは、ノートパソコンの使用を制限している企業が多いこと。「ノートPCの持ち出しを制限」「外出先でのノートPCへのUSB接続を禁止」など。 ノートPCの紛失・盗難によるデータ流出を警戒するのはもっともなことだ。持ち歩くためのモバイルノートを持ち歩けないのでは、本末転倒だとは思うが。

 

USB接続の禁止は、ウイルス汚染されたUSBメモリからデータを入れることによってノートPCが汚染され、そこから自社のネットワーク全体が汚染されることを防止するためらしい。 ところが話が極端になって、ノートPCのUSB端子を使えなくする部品が売り出されたり、デジカメだろうがICレコーダーだろうがノートPCへの接続は全て禁止という会社もある。

それによって、ノートPCのウイルス被害は避けられるだろうし、会社全体のウイルス被害も避けられるだろう。しかし。 会議で他社に出向き、ICレコーダーにマル秘の音声を録音した場合の情報セキュリティはどうなるのか。

 

例えば、企業間トラブルが起こって関係者に事情聴取した音声が世間に流出したら。企業の買収や合併に関する話し合いの音声が、もし事前に流出したら。新製品に関する企業間会議の情報が漏れたら。 これらはいずれも複数の企業の命運にかかわる問題で、トラブル対策も1社のみの問題ではなくなる。

 

後日文書化されるのはあくまで「清書された、きれいごとの内容」であって、本当に生々しい情報は元のしゃべり言葉の中にある。 文書化されPC内に保存されたデータを守るよりもっと大事なのは、録音された音声を守ることなのだ。

 

そのわりに、ICレコーダーの情報セキュリティ機能は一般に低い。相手の企業へ出向いての話し合いを録音した帰りに、ICレコーダーを紛失したら、盗難されたら、どうなるのか。

 

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三洋電機さんからICレコーダー3台をお借りして試用中です。
どれもかわいい! 遊び心やおしゃれ心があります。

…私のサンヨーICレコーダーのイメージって、最初にUSBダイレクト接続機種が出た(サンヨーがたしか一番早かったのです)当時のイメージで止まっていたんじゃないかと、大反省。

 

すっきりしたICR-PS504RM、リニアPCM対応なのにコンパクトなICR-PS605RM、そして先日okosoでもご紹介したICR-XPS03MF。私のオリンパスDS-750は自費で購入したもので、どっちみち会社としてもう1台購入する必要があるし(出張録音には複数の録音機材を持参するのです)、この中のどれか…と真剣に検討しながら試用しています。

 

近日中に原田さんが「ICレコーダーを骨までしゃぶる」に記事をアップする予定です。

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テープ起こしをしていると、ごく普通の言葉が聞き取れないことがある。そういうときは、話者の出身地を確認すると参考になることがある。講演や会議などでは誰もがフォーマルな言葉を使うから、単語としての方言ではない。イントネーションや発音の地域性。(いずれも一般論で、個人差や年代差、細かい地域差などによって異なります)

 

例えば、関西の人は母音の無声音化(無声化ともいう)をしないので、音が多く聞こえる。例えば「です」(無声化するとdes)、関西人は律儀に「desu」と最後の子音を発音するので、無声化する地域の人にとっては「ですぅ」と聞こえる。
この1拍多い発音に気を取られ、次の言葉が聞き取れないことがある。落ち着いて聞き直し。

東京で生まれ育った話者の発音も、聞き取れない場合はある。下町言葉(江戸弁)では「し」と「ひ」が逆になったりするせいだ。「この人は江戸っ子」と自分に教えてから聞き直すと、ビュンビュン聞き取れる。

 

学校で、音楽の時間にわざわざ鼻濁音の理屈を教わったことがあるから、私が育った千葉南部は鼻濁音地域ではないのだろう。自分では使っていない。鼻濁音での「社外」の発音は、鼻濁音に慣れていないと「社内」に近く聞こえるので、慎重に聞き分けないと正反対の意味になってしまう。

東北地方には、「東京式アクセント地域」と「無アクセント地域」がある(無アクセント地域は、関東北部や九州の一部にも分布している)。

 

無アクセント地域特有のイントネーションや、鼻濁音を音で聞けるページを見つけたのでご紹介。
栃木のことば(作者 加藤昌彦氏)http://www.hcn.zaq.ne.jp/myattun/tochi/index.html

メニューで「発音の特徴」をクリック。
(「発音の特徴」ページには、日本全国のアクセント分布地図も掲載されている)

 

私が起こす音声は、「そのような事象の発生がございますことから」などという堅苦しい会議や講演のしゃべりが多いけど、それぞれの土地のイントネーションや発音は、ほんのちょっと顔を出す。
テープ起こしをするときのポイントは、いろいろなイントネーションや発音があるのだと知ること、「すごい専門用語とかじゃなくて、イントネーションが違うせいで聞き取れていない、ごく普通の言葉かも」と意識しながら何度も聞き直すこと。

テープ起こしの在宅ワークがしたくてスタッフ登録できる会社を探したが、「大卒」とか「テープ起こし実務経験者」という条件があり、自分はそれに当てはまらない。どうやって仕事を探したら…というご相談をokosoにお寄せいただきました。

これはとても多いご質問です。

 

私もかつて大学を中退したので、学歴はずっと高卒でした。数年前に通信制で大学に入り直して今月卒業なので、卒業証書?を受け取ったら大卒になりますが。
学歴も実務経験もないから登録スタッフにはなれないとあきらめて、わりと早くからホームページを立ち上げて独立自営スタイルでやってきました。

 

でも、その後テープ起こし大手数社の社長さんたちとお近づきになり、当時のことをお話ししたら、応募条件というのはもっと柔軟に考えて大丈夫だということが分かりました。
要は、正社員の採用等でも今はそうですが、人をじっくり育てる余裕がないので、即戦力が欲しいという意味なのです。

 

・国語力と幅広い知識・学力がある(という人はきっと大卒に多いだろう)
・機材やソフトに慣れていて、聞き取りも正確で、表記の知識もあり、入力も正確で速い(という人は当然実務経験者だろう)
という考え方で、各社はテープ起こしの即戦力を求めています。

 

つまり、国語力と幅広い知識・学力があり、すでに機材やソフトに慣れていて、聞き取りも正確で、表記の知識もあり、入力も正確で速い人なら、大卒でなくても実務経験者でなくても欲しいわけです。

 

そういう即戦力であるなら、「条件を満たしていませんが、トライアルだけでも受けさせていただけないでしょうか」と連絡すると受けさせてもらえて、しかも合格して登録できることがあります。

そうでないなら、実務は未経験だけどこれだけ勉強した、「国語力」から「入力も正確で速い」までの諸条件を、自分はクリアしているとアピールする必要があります。

 

ここで自分の本「テープ&音声起こし 即戦力ドリル」オンライン講座を持ち出すのは大人げないのですが、とりあえずご紹介程度にリンクをはっておきますね。
ほかに、大手ではがくぶん総合教育センター「テープライター養成講座」があります。音声ファイルや動画ファイルを扱うための技能に特化した講座としては、同業の友人である土屋恵美子さんの音声ファイル講座があります。

 

ただし、「講座修了者には月○万円以上の仕事を完全保証!」などという悪徳商法にひっかからないよう、講座は「勉強するためだけ」にあると明確に割り切りましょう。
また、テープ起こしの講座はテープ起こしの技能を身につけることはできますが、「幅広い知識・学力」は別問題で、日々の努力が必要です。

 

テープ起こしは、バイオテクノロジーだろうが金融工学だろうが、音声を聞き取って文字を当てはめなければならない仕事です。全然とっかかりがないとネット検索で用語を探すにも時間がかかるので、浅くてもいいから幅広い知識(雑学含む)が必要なのです。

 

というわけで、学歴や実務経験の壁を突破することは可能です。それに、登録にこだわらず、自力での営業活動や友人知人のコネから仕事に結びつけることもできますよ。

今月の日経新聞「私の履歴書」は、プロゴルファーの青木功さん。「私の履歴書」は、文章(書き言葉)になっている回としゃべり言葉を生かしている回があって、青木さんのはしゃべり言葉系でまとめられています。
今日の記事に「火事場のクソ力」という言葉が出てきました。うーん、やっぱりカタカナか。やっぱりそう表記すべきだったか。などと、以前起こした音声のことを今考えています。

 

私自身は「火事場の馬鹿力」と言います。大人になるまで「火事場のクソ力」という言い回しがあること自体知らなかったし、ちょっと汚い言葉という感じがするので、自分では今後も使わないと思います。
でもね、普通に講演などで使う方もいらっしゃるのですよ。講演音声を起こしたとき出てきて、しかもビジネスについての真剣な話題で、何回もキーワードとして強調されていたので、どう表記すべきかこちらも真剣に検討したわけです。

 

「糞力」では「ふんりょく」と読まれそうなので却下。そもそも常用漢字表外だし。あとはひらがなとカタカナ。「クソ力」は、ぱっと見ると全部カタカナの「クソカ」と見えるような気がして、そのときは「くそ力」にしたのだったと思います。

 

テープ起こしにたずさわる人間は、「ちょっと汚い」とか言いつつ、音声に出てきた言葉には真剣に取り組みます。例えばインタビューが脱線して猥談大会になっている音声でも、出てきた言葉をこの単語はカタカナかひらがなかと、ネット検索したりしてせっせと調べてしまうのです…。ああ、馬鹿まじめ。ひょっとしてクソまじめ?

 

※今ネット検索したら、『キン肉マン』の技の名前に「火事場のクソ力」というのがあったそうです。最初にそちらを覚えて、大人になってから「火事場の馬鹿力」って言い方もあるんだと知った人も、きっと多いのでしょうね。

普通の起こし方でテープ起こしした音声1時間あたりの文字数は、1万6000字~2万字ぐらいが平均と言われている。私自身のしゃべり方は結構早口なので、たぶん1万9000字ぐらいではないかと思う。

 

過去に起こした中では、1時間あたり1万3000字という文字数の少ない仕事があった。高齢の方で、口調が非常にゆっくりで、ときどき考え込むような間が空く。ご高齢なわりに滑舌がよくて聞き取りやすく、しかもしゃべりはゆっくりだから、起こしやすい仕事だった。

 

それでも、講演だと聴衆が目の前にいるから本当に極端な早口にはならない。インタビューは、本当にわかっているかな?と話し手が多少聞き手に配慮する。一番速い(ことがある)のは、知り合い同士の対談。話に遠慮がないから、速い速い。相手の話にかぶりながらお互いどんどんしゃべって、音声1時間が軽く2万4000字を超すことがある。

この前行った会場では、ICレコーダーを直接ミキサーにつながせてもらえたので(ライン録りと言う)、音質もよくて助かったけど。

明日はテーブルの真ん中に、普通にICレコーダーを置くことになる。きれいに録れるかな、ちょっと緊張。

話者が多いから、ちゃんと発言者メモを作成しなきゃ。

 先日、ちょっと用があって原田さんとPCを取り替えて作業していた。原田PCでクライアントへのメールを、型どおり「株式会社×× ○○様」と入力し、次に何気なく「いつもf」と入力してスペースキーで…。
 えっ、当たり前のように「いつもお世話になっております。」と変換された?

 

「ああ、廿さんの“基本200語”は、私のPCにも全部単語登録してあります」と原田さん。

 

 基本200語というのは、私が「オンライン講座テープ起こし初級」の教材として作成した、単語登録集。音声で(ということはしゃべり言葉で)よく使われる言葉と、メールでよく使う言葉をピックアップしてある。
 いい位置にあるのにローマ字入力ではほとんど使わない「f」を、短縮の合図のように使っている。「ごけんとうf→ご検討のほどよろしくお願いいたします。」とか。