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2014年5月アーカイブ

5/31、6/1に「日本語教育学会」の春季大会というイベントが開催されます。これを聴講に行こうかと検討中です。

なぜなら、初日のパネルセッションに『ささやく恋人、りきむレポーター 口の中の文化』の著者、定延利之氏が登場されるからです。『ささやく~』は、日本語や日本人の話し言葉のトピックが考察されている、面白く勉強になる本です。

 

一般の人が「読む」話し言葉は、実際にはライター、記者、編集者といった人たちが読みやすく整えた文章です。つまり、インタビューとか対談とか講演とか銘打っていても、その文字列は「話し言葉っぽい雰囲気を出した書き言葉」に変換されています。

 

ホントのホントは、私たちはああいうふうにしゃべってはいません。しかし、そのままだとあまりに読みにくく理解しにくいので、修正というか変換作業が必要なのです。話した本人だって、「えーとですね、何て言うかな、ほら…日本の、世界に出ていきますね、最後には、結局閉じてはいられないんですよ。グローバリゼーションというのはやっぱりねえ」なんていう「講演」を掲載されてはあまりにも不本意です(あ、これは今私が作ったトークです)。

こういう発言でも、全体としての意味はだいたい理解できますから、ライター、記者、編集者といった人たちは「本人が言ったこと」ではなく「本人が言いたかったはずのこと」に書き直すわけです。

 

オコシストでさえ、普通ここまでケバだらけの文字化はしません。いや、言い間違いや言いよどみまでそのまま文字化する案件もあるにはありますが、ほとんどの案件でもうちょっと整えます。

 

それでも、オコシストの仕事はライターとは違います。「話し言葉っぽい雰囲気を出した書き言葉」までは変換しない、その手前の作業です。

話し言葉をある程度理解しやすく文字化するというのは、結構勉強の必要な世界です。ところが、勉強しようとしても、参考書がほとんどありません。

まず、文法書のほとんどは書き言葉を対象としています。話し言葉について学ぼうとすると、「プレゼンの技法」「スピーチのマナー」「ボイストレーニング」といった書籍が出てきます。つまり、自分が話す人向けです。他人の話し言葉を対象とする私たちには直接役立ちません。

 

そもそも日本の大学には、「国文科」はたくさんありますが、「国語学科」あるいは「日本語学科」は非常に少ないのです。国文科は源氏物語がどうしたというような世界なので、オコシストの勉強にはあまり関係しません。

最初に触れた定延利之氏は、国際文化学研究科の教授です。話し言葉について面白くて役立つ本を書く方の多くは、そういう分野…日本語と外国語の境界というか一体となったというか…の分野で研究されているようです。今年の「日本語教育学会」の大会委員長である庵功雄氏も、大学の国際教育センターの教授です。

 

「日本語教育学会」は、丁寧な定義はさておき、大雑把に言えば外国人に日本語を教える人が研鑽を積む場所だと思います。

ということは、オコシストの勉強になる本を書く人とは、外国人に日本語を教える(あるいはそのための教材を作る、あるいは「外国人に日本語を教えたい人」を教える)人たちに多いということになります。

 

これは不思議ではありません。私たちが「英語をやらないと」と感じるとき思い浮かべるのはまず「英会話」であるように、日本語を学ぶ人たちもまず会話を習うからです。

ですから日本語教師は、日本語の話し言葉について外国人から質問を受け、なんとか分かりやすく説明しようと日夜奮闘するわけです。例えば、理由や因果関係を表す「~ので」「~ため」「~から」は、話すときはどう使い分けるのかといった類の説明です。

 

そういう必要性から、日本語の話し言葉について真剣に研究することになります。

実は私の妹も20代のころ、日本語教師をやっていました。できて5年目ぐらいの最初期の日本語教育能力検定を取って、国内や韓国で教えていました。「××と××の使い分けを何か平易な例文で教えよう」と、いつもあれこれ考えていたものです。

当時妹が雑談的に話してくれた、外国人に教えるための日本語文法は、今もテープ起こしをするとき役立っています。

(外国人に教えるための日本語文法体系は、私たちが中学で教わる国文法とは少し違います)

 

というわけで、okosoとしては、音声認識や録音機材の会社に取材するのと並行して、そういう世界の方にお話を伺ってみたいのですが。「は? テープ起こし? 日本語教育と何の関係が?」と不思議がられて、そこから説明しなければいけないでしょうし…。学会のイベントを聴講に行っても、そういうアカデミックな場所では自分は場違い感があるはずで、誰かに何かをお願いする勇気が出るかどうか。

イベントは半月後ですが、まだ逡巡中です。