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2013年7月アーカイブ

テープ起こしの仕事ではよく、「知らない言葉は聞き取れない」と言われます。つまり、普段私たちが人と話すとき苦労しない理由は、「知っている言葉は聞き取れる」ためです。

相手が「くりぇーとやすいんですよみずとかやさしみずなーじゅーなーえん」と言えば、私は「あれっ、この前行ったら79円でしたよ」と答えて、普通に会話は続きます。

 

きちんとした発音で、省略されている情報も全部入れると、次のようになります。

 

クリエイトSDというドラッグストアの、あなたと私の家の近所にある××店では、「北アルプス安曇野のやさし水」というペットボトルの水が安いんですよ。2リットルで77円です。

 

これなら聞き取りやすいですし、話の内容も理解しやすいですが、こんな説明的なしゃべり方をする人はいません。「クリエイト安いんですよ、水とか。やさし水、77円」と私が聞き取れるのは、相手と自分が近所で、私もこの店の目玉商品を知っているためです。

 

テープ起こしの仕事では、もっと専門的な会話も聞き取って文字化しなければなりません。例えば医師が同じ診療科の医師に向かって、ご近所主婦の買い物談義と同じぐらい「お互いよく分かっている状態」でしゃべると、こんなふうに聞こえます。

 

えーこーこのりんしょーれすぽんすとかんれんするよーいーおーしーあーるぴーえすじぇーしーてぃーじぇーしーえむえむぴーすりーのすいーでかいせきするとーえーしーあーぴーのてーかが

 

医師も一般の人に向かって講演するなら、もっと分かりやすくしゃべるはずです。しかしこれは医師向けなので、専門用語や略語の羅列です。オコシストは、聞き取れるはずの言葉まで分からなくなります。

 

例えば、しゃべり出しに「えー」と言い、「こ、この臨床」と言葉がもつれているのですが、すごい専門用語だと思い込んでしまうと、「エーコーコの臨床って言葉あるかな…エココの臨床かな…」と悩んだりしがちです。「レスポンス」という言葉を知っていても、自分のイメージするアクセントが「- ̄ ̄__」なのに話者が「 ̄____」と発音するなどの場合は、とっさに分からなかったりします。

 

この臨床レスポンスと関連する要因をCRP…とかいろいろな何かで解析すると、何かの低下がどうかするようです。何度も聞くとだんだん大意は理解できてきますが、いろいろな何かを一つひとつ聞き取って特定するのが大変です。

「解析すると」の後ろは「えー、CRP」「AC、あー、P」「ACRP」のどれでしょうか。この医師の話し方の特徴を考慮しつつ、一方では、その病気の臨床的な知見についてネット検索などで確認しながら、どれかであると判断しなければなりません。

 

…というような話をセミナーですると、受講者から「難しい案件は、打診されたときお断りしてもいいんでしょうか」という弱気な質問がしばしば出ます。

いいのですが、ペットボトルの水の値段などという簡単な音声はごくわずかです。「自分の知らない分野はどれも分かりにくい。挑戦する勇気と、調べまくり聞きまくる根気が必要です」とお返事しています…。