テープ起こし・音声起こしの総合情報サイトokoso | 今日も音声起こし中

今日も音声起こし中

2011年4月アーカイブ

 音声起こしに必要な語彙は、専門用語や業界用語だけではありません。古典的・文語的な言い回しを知っておくことも必要です。
 

耳朶(じだ)に触れる
掣肘(せいちゅう)を加える
 どちらも、一度ぐらいは音声に出てきた記憶があります。

 

 「乃公(だいこう)出でずんば」というのも、たしか過去一度音声に出てきました。最初「大公」という文字が浮かび、「違う…違ったはず、でも漢字が分からない…」というわけで、「だいこういでずんば」とひらがなでネット検索しました。漢字を調べるときは、意味も音声の内容と合っていることを確認します。

 

 日常生活で私自身は、「掣肘を加えるよ!」「乃公出でずんば、ですよね」などとは、言ったことも言われたこともありません。それらは本の中の言葉であって、しゃべるときの言葉ではないと、漠然と感じていました。でもこれらに加え、「弥栄(いやさか)を祈る」「得たりやおう」「謦咳(けいがい)に接する」なども、話し言葉として音声に出てきたことがあります。

 

 テープ起こしの仕事では、「偉い人」の講演やインタビューなどを起こすことがしばしばあります。政治家、行政機関の上のほうの人、企業のトップやそれに近いポジションの人など。
 この人たちはリーダーとしての働き方を学ぼうとするのでしょう、『史記』などの中国の古典や、日本の戦国時代・明治維新あたりを舞台にした小説を読みます。生き方自体に悩むことも多いのか、剣豪小説や『葉隠』や禅の本を読んだりもします。それらの過程で、古典的・文語的な言い回しを身近に感じていくのでしょう。

 

 「偉く」なるには年月を要しますから、こういう格調高い言い回しを使う人の多くは中高年(特に男性)です。
 日本や中国の歴史・文学などを研究している先生方も、こういう言葉を使うかもしれません。でも、私の受注する案件は文系の内容が少ないので、接したことはさほどありません。

 

 「しかし」ではなく「しかしながら」という仰々しい言い方は、公的な会議などの音声にはよく出てきます。「しかしながら」をもう一歩進めるイメージなのか、「然は然り乍ら」という言い回しも、まれに出てきます。これはカッコでルビを入れるのもおっくうなので、「さはさりながら」とひらがなで文字化しています。

 

 私がなんとかこの手の言葉を聞き取って、調べながらでも文字化していけるのは、母が読んでいた剣豪小説から来ていたりします。あとは、高校時代に副読本の国語便覧を端から端まで読んだ(ひまでしたし、当時は活字中毒で何か読んでいれば幸せだったので…)ことが、今になって役立っています。

 おすすめできる勉強方法も、「偉い」人たちが読む本を読んでおくことや、故事成語、ことわざ、格言などの本を手元に置いておくこと、ということになります。幻冬舎文庫『知らない日本語―教養が試される341語』(谷沢永一 著)なども勉強になります。