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上手な録音起こし方の基本

話し言葉の処理の最近のブログ記事

今日、単語登録のことを質問されたので、久々に速記者坂元正剛さんのホームページを探したら…なくなっている! いつから?

 

速記の考え方を生かした単語登録方法は、すごすぎて私には少ししか参考にできませんでしたが…。それでも、何度もこの方のホームページを見て勉強したのです。

 

探したところ、日本速記協会のWEBサイト「PDF文庫」のページに、坂元正剛さんの著書『新ワープロ速記法』がPDFファイルで置いてあるのを見つけました。

単語登録については、『新ワープロ速記法』のP70-143、P179-ラストに、詳細に記載されています。

かな入力用の単語登録なので、そのままでは私のようなローマ字入力派には向きませんが、活用のある言葉(動詞など)をどんなふうに分解して登録するかなど、考え方を学ぶことができます。

 

日本速記協会 PDF文庫 のページ

 

それにしても、1988年の出版です。まだワープロが登場したばかり。『新ワープロ速記法』は歴史の勉強にもなります。

連載第2回と第3回では、「ん」には情報や立ち位置の共有機能があること、そのため立ち位置を共有しない(意識して相手より一段下がる)場合には「ん」を使わないことを取り上げました。

 

また、「ます」形を避けて「です」形にするために「ん」を使う場合があるのですが…。この用法の意味について取り上げた本が自宅に見つからず、これだったかなとamazonで注文した本も違っていました。見つけたら後日書きますね。

 

あと一つ、話し言葉においては、センテンスを終わらせないために「ん」を使うことがあります。「~~~んですけど、~~~んですけど、~~~ですけど」と続ける話法です。実例を見ていただくと「あ、私もこういう話し方してる」と多くの方が思われるのではないでしょうか。

例えば、東京都小平市の市議会データベース【平成24年9月定例会-09月05日-03号】で見つけた発言です(カギカッコは私が付けたもの)。

 

それと、これはつまらないことを聞く「ん」ですけれども、犬の散歩はしないでください、ネットに向かってボールを投げないでください、という意味「なん」ですけれども、犬の散歩はしないでくださいということは、散歩はしてはいけないけれども、最近よく広場で見かけるドッグラン状態になっていたりする「ん」ですが、それとネットに向かってボールを打たないでくださいということは、ネットに向かわなければ野球等をやってもいいというふうにとってしまう「ん」ですけれども、つまらないことをお尋ねする「ん」ですが、いかがでしょうか。

 

「~~~んですけど、~~~んですけど、」とつなげていく話し方に対して、日本語が明晰でないせいだと主張する人がいます。しかし、日本語で明晰にしゃべることは可能です。むしろこの場合は、議員さんご本人がこういう話し方を選択しているのです。偉そうに聞こえてはいけないという遠慮からです。「つまらないことを聞く(お尋ねする)んですけれども」と、2度も謙遜の表現を入れているほどです。

 

議員だって、選挙中に駅前で演説するときなどは、短いセンテンスを次々に繰り出して、明快にしゃべります。「このままでいいのか! 皆さん、本当にいいと思っていますか! 変えていかなければならない、そう思っているはずです!」

このように、私たちは状況を考えながら「ん」を使うかどうかを決めています。

 

ところが、「~んです」はくだけた表現だから文字起こしする際には「~のです」に変更すべきだという考え方があります。Wordの文章校正機能などは、実にこまめに「ん」を見つけて「の」への変更を提案してきます。

 

「つまらないことを聞くのですけれども」…口調のナチュラルさが消えるわりに文章語っぽくはならず、中途半端です。

むしろ「聞くんですけれども」→「聞きますが」、「意味なのですけれども」→「意味ですが」と直すとすっきりします。ただ、これをやると「偉そうに聞こえてはいけない」という話し手の配慮も消してしまい、やや断定的な調子になりがちです。結局、議会などの音声起こしでは、話されたままに再現するのが一番のようです。

(第2回、第3回では、偉そうに聞こえてはいけないから「ん」を使わないというしゃべり方を取り上げました。今回は偉そうに聞こえてはいけないから「ん」を使うわけです。深いですね)

 

というわけで、4回書いてみた「ん」ですけれども、英語でも「立ち位置を同じにするための表現」ってあるのかなと思う「ん」ですけれども、私は英語にうとくて知らない「ん」ですけれども、ご存じの方教えてくださいね!

 

 

「これはペンですか」「いいえ、違います」1

「これはペンですか」「いいえ、違います」2

「これはペンですか」「いいえ、違います」3

相手と立ち位置を共有するかどうかとか、自分が偉そうに思われてはいけないという配慮が、「なん」「ん」を使うかどうかに影響します。

前回のお客と店員の会話に続き、今回は会議の口調を見てみます。

 

例えば、官庁が有識者を委員に招いて審議してもらう会議。事務局を務めるお役人は、委員に「これ、ペンなんですか」と質問されたとき、「いいえ、鉛筆なんですよ」などとは普通答えません。

 

多少お分かりになりくいかと思いますが、実はこちらは鉛筆になってございまして、ペンと見えてしまうようですといささか私どもの不手際かと思いますので、この点につきましては持ち帰ってさらに検討させていただければと考えております」というような答弁になります。

 

会議がフォーマルであるほど、「有識者の先生方」に対する事務局のへりくだった口調は強くなります(たとえ裏では万事仕切っているにしても)。一方、委員長がくだけた人で、しかも小さな会議室で小さな議題をアットホームに話している会議などでは、事務局側も「いいえ、実は鉛筆なんですよ」と答えたりします。

 

このように、あなた様と同じ位置に立つなど滅相もございませんというへりくだりで、「なん」「ん」を使わない話し方があります。逆に、立ち位置を共有する場合は積極的に「なん」「ん」を使わないと、前回取り上げたような「外国人の日本語」になってしまいます。

 

一方、「ます」形を避けて「です」形にするために、「なん」「ん」を使う場合があります。

 

違います。違うんです。

そうだと思います。そうだと思うんです。

 

「~ます」より「~んです」のほうがちょっと柔らかい感じになるためでしょう。ですから、クールな雰囲気に文字起こししたい場合は、逆に「ます」形に変更するという手法が使えます。

 

無理だと言われたこともあるんです。→ 無理だと言われたこともあります。

こんなビジネスを立ち上げたんですね。→ こんなビジネスを立ち上げました。

 

日本語の話し言葉は、最近「ます」形を避けて「です」形に収れんしようとしている。

という内容が、たしか…。自宅の本棚の上から3段目の…。ちょっと確認してみます。次回をお楽しみに。

 

(余談ですが、実際の音声の中に出てくるようなリアルな口調を再現するには、「いいえ、鉛筆なんですよ」でもまだリアル感が足りません。事務局の答弁の2パターンどちらにも、「実は」というフレーズをごく自然に入れてしまいました)

 

「これはペンですか」「いいえ、違います」1

「これはペンですか」「いいえ、違います」2

「これはペンですか」「いいえ、違います」4

さて、中学時代、英文和訳に「これはペンですか」「いいえ、違います。鉛筆です」という不自然な日本語が出てきて困惑した私ですが。高校時代に読んだ井上ひさし『私家版 日本語文法』に、ちょっとヒントになることが書いてありました。

 

ガラスの割れていることを発見したのがカナダ人修道士であれば、彼はきまってこう詰問した。

「だれがガラスを割りましたか」

この言い方はどうもすわりが悪い。いわゆる〈外国人式日本語〉だ。一方、日本人修道士の詰問文はこうだった。

「だれがガラスを割ったのですか」

ガラスが割れているとは、すでに旧情報に属する。その旧情報を基に新情報を得ようとするには「……のですか」という「のだ文」を使わねばならない。

(井上ひさし『私家版 日本語文法』269ページ)

 

「これ、ペンなんですか」には、旧情報に当たるものがありません。いや、あるのかな。「ペンに見える(旧情報?)けれども、もしかしたら違うのかもしれないと私は思った(いやむしろ、ここまでが旧情報?)、だから質問して新情報を得よう」ということかもしれません。

 

okosoメルマガに寄せられた情報ではもう一つ、小柳昇さんという方の「日本語チャンネル」というWebサイトを教えていただきました。

このサイトの「#28「~のです」の統一的解釈を試みる」というページ、非常に専門的な内容ですが、ポイントは最後の「余談」というコーナーにあると感じました。

 

非常に日本語がよく話せる外国人の日本語を聞いて、非常に落ち着かない思いをしたことがある。その人は会話に「~んです」が出てこないのである。日本人にとって、会話で「~のです」が出てこないと不安になる。つまり、日本人にとって、談話の展開中には「~のです(ね/よ/か)」によって常に情報の均一化を目指して、補充や確認しながら共同作業することが不可欠である。

(日本語チャンネル #28「~のです」の統一的解釈を試みる)

http://nihon5ch.net/contents/ch5/kosatsu/28.html

 

ここでも、井上ひさしと同様、外国人が使う日本語との対比です。つまり、外国人はかなり日本語に堪能な人でも「~んです」が重要だと感じない。その人たちの母国語にはそういう機能がないのでしょう。

そういう機能とは「情報の均一化」「補充や確認」「共同作業」です。

ただ、私が思うのは…。この「共同作業」は、「お互いの立ち位置を測り、同じ位置に立って大丈夫とお互いに感じる」というようなことも含むのではないでしょうか。私たちは誰とでも共同作業をするわけではなくて、日本人同士の会話でも「~んです」を使えないケースがあるからです。

 

「これ、ペンなんですか」「いえ、こちらは鉛筆になっております」

お客と店員の会話かなという感じですね。

 

このとき店員が「いいえ、鉛筆なんですよ」と答えたら、親しみを込めた接客と肯定的に捉えるか、なれなれしいんじゃない?と少し不快に感じるかは、人それぞれでしょう。

お客と同じ位置に立っていいなら「鉛筆なんですよ」と答えられますが、店員はお客より一段低い位置に立たなければいけないという考え方なら「鉛筆でございます」とか「鉛筆になっております」という答え方になります。

 

「鉛筆になっております」は、まるで自動的に鉛筆が形成されたかのような、本当は変な言い方ですが、へりくだるためにはよく使われます。

「鉛筆です」だと、自分が偉そうに知識をひけらかして断言しているように思われるのでは…という危惧で、別に私は何もしてないけどこれは自動的に鉛筆だったんだと言い訳するイメージです。

 

自分は客だという意識で質問する場合は、「これ、ペンですか」になるでしょう。「これ、ペンなんですか」と質問するときは、ちょっと親しみを込めているというか、同じ位置に立ってOKという合図を店員に出しているとも考えられます。

 

相手と立ち位置を共有するかどうかとか、自分が偉そうに思われてはいけないという、日本語の話し言葉におけるしつこいまでの配慮は、テープ起こしを仕事にしているととてもリアルに感じられます。

 

次回も、このしつこいまでの配慮を別の例で見てみます。

 

 

「これはペンですか」「いいえ、違います」1

「これはペンですか」「いいえ、違います」3

「これはペンですか」「いいえ、違います」4

 

私が中学1年のとき、英語の教科書には、こういう会話がありました。

Is this a pen?

No, it isn't. It's a pencil.

 

授業中、クラスの男子が「こんな会話、覚えても意味ない」と言い出しました。「これはペンですかなんて、人に聞いたことあるか? 見れば分かるじゃん」

たしかに、クラスの誰も「これはペンですか」「いいえ、違います。鉛筆です」などという会話はしたことがありませんでした。でも。

 

「キミたちも実はそういう会話をしてるぞ。この和訳と少し違うだけだ。しかし、和訳を工夫しているとテストの時間が足りなかったり、教師側も採点が大変だったりするから、学校ではこういう和訳で統一する。英語としてはちゃんと通じるから、この英語を覚えろ」

…というふうに、教師が説明してくれたらよかったのではないでしょうか。

(「1本の」ペンと訳さなくてよい理由は、説明を受けた覚えがあります)

 

日本語の会話としては、例えばこんな感じのほうが自然です。

「これ、ペンなんですか」「いいえ、違うんです。鉛筆なんですよ」

 

「えーっ、鉛筆? ちょっと見せてもらっていいですか。あ、ホントだ」と、会話が続くところがイメージできます。お菓子そっくりの入浴剤などと同様のおもしろグッズかなとか、情景まで浮かびます。ペンかどうかを質問するというシチュエーションは実在すると、中学時代の自分に言ってやりたいぐらいです。

 

「これは」の「は」という格助詞を抜くとか、「鉛筆なんですよ」と終助詞「よ」を付けるなどが、話し言葉っぽさを出しています。「なの」「の」(実際には「なん」「ん」)が入るのも、話し言葉っぽさにつながっています。

 

格助詞や終助詞はなんとなく分かるとして、「なん」や「ん」はいったい何なのでしょうか。okosoメルマガで情報提供をお願いしてみたところ、品詞についてメールをいただきました。

助動詞の「だ」が連体形「な」に変化して「の、ので、のに」にくっつくのだそうです。

「ペンなんですか」→「ペン(名詞)」+「だ(助動詞)」+「の(助詞)」+「です(助動詞)」「か(助詞)」

「違うんです」→「違う(動詞)」+「の(助詞)」+「です(助動詞)」

 

なるほど。「なの」と「の」が存在するんじゃなくて、「な」(終止形は「だ」)と「の」があるんですね。

そして、前の言葉が名詞の場合は「花なんです」「鳥なんです」などと「な+ん」を使い、前が動詞や形容詞などの場合は「ぶつかるんです」「多いんです」などと「ん」を使うわけです。

 

さて。

テープ起こし(音声起こし)とは、話し言葉を文字化する作業です。文字として書かれたものは、もう話し言葉自体ではありません。

AさんとBさんの会話は、AさんとBさんの人間関係を基本にしています。それを文字にするのは、本人以外が読むためです。ですから、AさんとBさん以外の人間にとって読みやすくなければいけません。

 

読みやすく文字化しようとすると、まず「なん」「ん」がくどく感じられて処理に迷います。「これは」の「は」など格助詞の抜けも多いと読みにくいし、終助詞もいっぱい付いているとしつこくなります。終助詞は、実際にはもっとたくさん付いていることもしばしばです。

自然な会話の例:

「これ、ペンなんですか」「いいえ、違うんです。鉛筆なんですよ」

もっと終助詞がたくさん付いているけど会話としては自然な例:

「これ、ペンなんですかね」「いいえ、違うんですよね。鉛筆なんですよ」

 

「これはペンですか」「いいえ、違います。鉛筆です」で意味は十分通じるのに、なんで話し言葉だと、私たちはいっぱいゴタゴタと付けたがるのでしょうか。話した雰囲気を残しながらも読みやすくするためには、テープ起こしではどんな処理をするべきなのでしょうか。

 

次回は、「なん」「ん」の意味から考えます。

 

 

「これはペンですか」「いいえ、違います」2

「これはペンですか」「いいえ、違います」3

「これはペンですか」「いいえ、違います」4

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5月14日、数カ月ぶりにメルマガを出しました。その中に〔知恵を貸していただけませんか「~は」の3連続〕という記事を書いたら、たくさんの方からお知恵メールをいただきました(ありがとうございます!)。今回は、私の疑問とそれに対していただいたお知恵メールをご紹介します。

 

まずは、メルマガに書いた内容です。

 

 

◆知恵を貸していただけませんか「~は」の3連続◆


皆さまお忙しいところ恐縮ですが…。もしよかったら、発言の心理的(?)解釈に、お知恵を貸していただけないでしょうか。


以前、私がテープ起こしした音声に、こんな発言がありました。

「われわれはパフォーマンスは視点は置きますけど、それを具体的にアドバイスするわけではないですからね」


※実際の発言とは一部変更しました

※このパフォーマンスは演劇等ではなく、ビジネスの成果を指します

※コンサルタント的な立場からの発言です


「われわれは」「パフォーマンスは」「視点は」

日本語文法における主語とか主題部についてはいろいろな議論がありますが、このように「~は」が3連続すると、さすがにバランスがいいとはいえません。


でも口に出して言ってみると、こう表現したい気持ちは分かると感じます。感じるけど、その心理をうまく説明できなくて、もやもやしています。この発言、発言者の心理面からどう理解したらよさそうでしょうか。(何かを何かに限定するような意味合いを感じるんですが…)(われわれは「パフォーマンスに」視点は置きますけど…のほうがバランスよさそうに思えますが、「に」ではない理由は?)

 

次ページから、いただいたお知恵メールを到着順にご紹介します。

 

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前回の疑問点をもう一度リストアップしてみよう。これらはいずれも、「しゃべり方」を再現すべきかという疑問といえる。

 

テープ起こしは、聞くための言葉を読むための言葉に変換する仕事だ。「しゃべった内容」は再現すべきだが、しゃべり方の再現はほとんどの場合さほど必要とされていない。

しゃべり方の再現を重視しようとしすぎると、「えーと」「えっと」「えっとー」「っと」のどの発音かなどという、不毛な悩みに時間を取られることになる。作業効率的にも、過度にしゃべり方の再現を重視するべきではない。

 

◆こんな発話あるいは発声は文字化すべきなのか
1)「今ー」「広げてー」などと伸ばしている音は「今ー」と文字化する?
2)「えーと」「あのー」は文字化する?
3)たくさん出てくる「こう」は文字化する?
4)冒頭の「えっとすいません」は文字化する?
5)「伺っているんですけれども」は「伺っている“の”ですけれども」に直すべき?
6)「思ってる」は「思って“い”る」に直すべき?
7)「思ってるんですけど」「買おうと」という終止形で終わらないセンテンスの処理は?
8)くだけた言い回し「だとか」「なんか」などはそのまま文字化する?
9)「取材、の内容」という、言葉に詰まって間が空いた感じは再現するべき?

 

このうち、1、2、3、4、9が同じ検討グループ(仮にAとしよう)に入り、5、6、7、8が同じ検討グループ(Bとしよう)になる。

 

◆起こさないグループと直すこともあるグループ

Aは、しゃべり方のうち、起こさない(削除する)ことの多いグループ。オコシストはこれをケバと呼ぶことが多い。

 

Bは、しゃべり方を直して文字化することもあるグループ。オコシストはこれもケバに入れたり、整文と呼んだりする。
整文というのは誤解を招きやすい言い回しなので、私はあまり好きではない。「文を整える」という漢字を見ると、センテンスまたは文章全体に手を入れるイメージだが、実際には整単語・整センテンス・整文章の各レベルが存在する。

 

※整単語・整センテンス・整文章…私の造語。
※いわゆる「整文」にはもっといろいろな項目がある。それはまた今度。

 

まず、Aグループを処理して様子を見てみよう。

 

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【話し言葉の処理】バックナンバー

1.「話す→読む」にはねじれがある

2.言い間違いと言い直し

3.戒律「言ってない言葉を作るな」

4.テープ起こしの参考書

私は、『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』と『会議録作成入門 200のノウハウ・テクニック』を、テープ起こしのテキストとして日ごろ参照している。

『話し言葉と書き言葉 テープ取材のテクニック』(藤村勝巳著、テープリライト株式会社)
録音しながら取材し→文字起こしを行い→記事にまとめるまでの一連のノウハウを取り上げている。テープ起こし作業については、多少手を入れて、後の編集工程で扱いやすい発言記録を作るテクニックを解説している。

 

『会議録作成入門 200のノウハウ・テクニック』(吉川欽二著、株式会社ぎじろくセンター)
議会の会議録はいわば証拠として永年保存するものであり、その会議録に主観的に手を入れすぎれば公文書偽造に問われる危険さえあると、著者は指摘する。正確な逐語記録を作るためのノウハウを解説している。

 

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つまり、この2冊の書籍はマスコミ系・議会系とフィールドが違うだけでなく、音声の「起こし方」も全く違う。加工しやすさを意識して起こすノウハウが『話し言葉と書き言葉』に、記録としてそれ自体を残すためのノウハウが『会議録作成入門』に詰まっている。

 

これだけ違う2冊だが、発声された言葉を何から何まで文字化すると読みにくいことは、共通して指摘されている。

 

では、何から何まで文字化しない場合、何をどう処理したらいいのか。連載第2回と第3回で例に挙げた発話は、言い間違いとそれを直そうとする発話がポイントになっていた。今回は、それ以外の問題も雑多に含む例を挙げてみよう。

 

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【話し言葉の処理】バックナンバー

1.「話す→読む」にはねじれがある

2.言い間違いと言い直し

3.戒律「言ってない言葉を作るな」

5.ケバと3つの整文

「言い間違い」や「言い間違いを直そうとする発話」までも起こすという、特殊な用途もある。例えば、次のような用途が考えられる。

 

◆特殊な用途1 言い間違いにも注目する用途
例えば、発言者本人がいかに言い間違いに気づき、どう直したかを記録する必要がある用途。言語学や心理学などの研究用の発言記録などには、こういった仕事がある。
また、マーケティングリサーチ用の聞き取り調査では、例えば「サッポロ…違う、アサヒビール」などの発言が、ブランドの認知について参考になるケースがあるので、言い間違いも注目されることがある。

 

◆特殊な用途2 映像加工を指示する用途
映像編集用
に「何でも再現」の起こし方が使われる場合がある。長い映像から音声を文字起こししておき、その文字記録をシナリオ的に使って、映像を切り出してつなぐ位置を書き込んで指示するものだ。
例えば、発言は言い間違いであっても、その部分の話者の表情がよく、映像として使いたいとする。言い間違いだが、声を消してナレーションのバックに使うことはできる。発言記録を印刷した紙にその指示を書き込む。そういう用途に使われる場合は、言い間違いも起こしておかないと指示が書き込めない。

 

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【話し言葉の処理】バックナンバー

1.「話す→読む」にはねじれがある

2.言い間違いと言い直し

4.テープ起こしの参考書

5.ケバと3つの整文

セミナーでは、課題提出後の評価会で「どう処理するのが正しいのか」という質問が必ず出る。一つの正解はない。仕様による+用途による+発注者の考え方による、としか答えられない。では、どのような仕様・用途・発注者の考え方であれば、どういう言葉を・どう処理するのが・比較的まし、なのか。

 

◆テープ起こしに一つの正解はない
「仕様・用途・発注者の考え方」の組み合わせは無数にあるだろうから、それぞれについて正解を提示することは現実的ではない。だいいち、どの条件に対しても、おそらくただ一つの正解はない。探るのは「比較的まし」な方法であり、「正解なのか」という問いは立てない。

 

などと抽象的なことを書いていても理解しにくいので、しゃべり言葉がどんなものか、一例を挙げよう。

 

しゃべり言葉の例
「昨日ですかね、夜中、月曜日の納品だったんですね。月曜日、今日は何曜日だ、火曜日でしたっけ。あ、ごめんなさい、火曜日の10時、今日の朝納品のものがありまして。」

 

drill.jpgこれは私の著書『テープ&音声起こし 即戦力ドリル』に収録した「総合問題1」の音声の一部。実際の発話というのは、文字どおりに再現すると理解しにくいことが分かる。

 

もし目の前の相手が上のようにしゃべったとすると、火曜日の午後にそれを聞いている私たちは、重要でなさそうな部分は無意識に聞き流す。「今朝納品する仕事があったんだな」と、大ざっぱに要点をとらえている。
大ざっぱに要点をとらえるのが、話された言葉を → 聞く ことの特徴だ。耳と脳の要点抽出処理は優秀なのだ。

 

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【話し言葉の処理】バックナンバー

1.「話す→読む」にはねじれがある

3.戒律「言ってない言葉を作るな」

4.テープ起こしの参考書

5.ケバと3つの整文